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年末年始、プレイすべきゲームがある。それは『信長の野望』だ

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40年前のゲームが、現代の組織論を先取りしていた

「ゲームなんかやってる暇があったら経営書を読め」

そう思った経営者の皆さん、ちょっと待ってほしい。

私はDXコンサルタントとして、組織改善に携わっている。最近、人的資本経営やエンゲージメント、エンパワーメントといった現代的な組織論を、クライアントにどう分かりやすく伝えるか悩んでいた。

そんなとき、ふと思い出したのが子供の頃に夢中になった『信長の野望』シリーズだ。

「もしかして、あのゲームって...」

調べてみて驚愕した。1983年の初代から、2022年の最新作まで、このシリーズは一貫して現代の組織マネジメント理論を先取りしていたのだ。

今日は、その驚きを皆さんと共有したい。


〇「戦だけでは勝てない」という40年前の洞察

信長の野望シリーズの基本思想は、初代から一貫している。

「戦争に勝つだけでは、天下は取れない」

内政を疎かにすれば国力が衰える。武将の忠誠度を無視すれば裏切られる。外交を軽視すれば包囲網を敷かれる。

これ、現代の企業経営そのものじゃないか?

技術力だけでは企業は成長しない。組織文化を疎かにすれば優秀な人材が辞めていく。社員のエンゲージメントを無視すれば生産性が落ちる。ステークホルダーとの関係を軽視すれば信頼を失う。

40年前、コーエー(現コーエーテクモゲームス)の創業者シブサワ・コウ氏は、この本質を見抜いていたのだ。


〇1990年の『武将風雲録』が描いた「組織文化投資」の重要性

個人的に衝撃を受けたのが、1990年発売の『信長の野望・武将風雲録』だ。

このゲームには「茶の湯」というシステムがある。茶器を集めて茶会を開催すると・・

  • 国の「文化度」が上昇する

  • 文化度が高いと税収が増える

  • 武将の忠誠度と教養が上がる

  • 他大名からの評判が向上する

  • 優秀な人材が集まりやすくなる

これ、完全に「組織文化への投資」のROI(投資対効果)を示している。

現代の経営理論では、福利厚生や研修、職場環境改善といった「見えにくい投資」が、長期的には採用力、定着率、生産性向上につながると言われている。

1990年のゲームが、これを完璧に実装していたのだ。

しかも面白いのが、短期的には茶器購入は「無駄な出費」に見えるという点。目先の利益を追う大名は茶の湯を軽視し、長期視点を持つ大名は投資する。

これって、まさに現代の中小企業経営者が直面するジレンマそのものだ。


〇2022年の『新生』が実装した「AI自律型組織」の衝撃

そして2022年7月、最新作『信長の野望・新生』が発売された。

このゲームのコンセプトは「AIで躍動する武将たち」。

従来のシリーズでは、武将はプレイヤーの指示を待つ「駒」だった。しかし『新生』では違う。

家臣たちが自ら考え、自ら行動するのだ。


知行制:究極のエンパワーメント

プレイヤー(大名)は、勝ち取った領地を家臣に「知行」として与える。すると家臣は・・

  • 自分の判断で内政を進める

  • 国境で小競り合いがあれば自律的に対処する

  • 調略を独自に仕掛ける

  • 功績を上げて自然に出世していく

大名は「全てを自分で決める」のではなく、「方針を示し、重要な判断だけを行う」役割になる。

これ、現代のエンパワーメント(権限委譲)そのものだ。


具申システム:ボトムアップの理想形

さらに驚いたのが「具申」システムだ。

家臣たちは勢力の状況を自ら分析し、最善の策を提案してくる。

「この武将を登用すべきです」

「この領地に投資しましょう」

「あの国衆を懐柔するチャンスです」

「敵に調略を仕掛けませんか?」

しかも、プレイヤーが忘れている案件があると、AIが察知して再度提案してくる。

「ここ、手を付けられていないみたいなのでやりませんか?」

従来のシリーズでは、プレイヤー自身が情報収集し、戦略を考える必要があった。しかし『新生』では、家臣が調べて提案してくれる。

これって、現場の社員が自ら課題を見つけ、解決策を提案するボトムアップ型マネジメントの理想形じゃないか。


身分・勲功システム:タレントマネジメントの実装

『新生』では、武将が領主・城主になるには一定の「身分」が必要だ。身分を上げるには「勲功」を獲得する必要がある。

能力は高いが身分が低い武将をどう育てるか?

前線に配置して戦闘経験を積ませるか、内政を任せて実績を作らせるか。

これは現代のタレントマネジメントそのものだ。

  • 多面的な能力評価(政治・戦闘・智謀・教養)

  • 実務経験による成長(OJT)

  • 明確なキャリアパス(身分制度)

  • 適材適所の配置

  • 能力主義による抜擢

信長らしい能力主義が、ゲームシステムとして完璧に実装されている。


〇「君臣一体」が示す、これからの組織のあり方

『新生』のコンセプトである「君臣一体」。

大名(リーダー)と家臣(メンバー)が、信頼関係のもと共通の目標に向かって協力する。

トップダウンでもボトムアップでもない、「共創型」の組織運営だ。

これって、星野リゾートやGoogleが実践している、まさに最先端の組織マネジメントじゃないか。

しかもこのゲーム、コロナ禍のリモートワーク体制で開発されたという。

在宅勤務が当たり前になり、マイクロマネジメントが不可能になった時代。社員を信頼して権限を委譲し、自律的に動いてもらう必要性が高まった時代。

そんな時代背景のもとで生まれたのが、この「AI自律型組織」というコンセプトだったのだ。


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〇中小企業経営への実践的示唆

ここまで読んで「面白いけど、ゲームの話でしょ?」と思った方もいるだろう。

でも、私はこのゲームから学べることが山ほどあると確信している。


示唆1:マイクロマネジメントからの脱却

『新生』の大名のように、経営者は「全てを自分で決める」のをやめるべきだ。

  • ビジョンと方針を明確に示す

  • 社員に権限を委譲する

  • 重要な判断だけを行う

  • 結果に責任を持つ

これが、VUCA時代のリーダーの役割だ。


示唆2:提案文化の醸成

『新生』の具申システムのように、現場からの提案を奨励する仕組みを作ろう。

  • 定期的な提案制度

  • 実施された提案の評価

  • 失敗を責めない心理的安全性

現場が「どうせ言っても無駄」と思ったら、組織は死ぬ。


示唆3:組織文化への長期投資

『武将風雲録』の茶の湯システムが示すように、目に見えにくい投資こそが長期的な競争力を生む。

  • 研修・教育への投資

  • 福利厚生の充実

  • 職場環境の改善

  • 社内イベントやコミュニケーション促進

短期的には「コスト」に見えるが、採用力、定着率、生産性向上という形でリターンがある。


示唆4:能力主義の人材育成

『新生』のように、年齢や勤続年数ではなく、能力と成果で評価しよう。

  • 実務経験を通じた育成(OJT)

  • 明確なキャリアパスの提示

  • 抜擢人事の実施

これが、優秀な人材を惹きつけ、育て、定着させる鍵だ。


〇医療・介護施設への特別な応用

私が特に注目しているのが、医療・介護施設への応用だ。

この業界は今、深刻な課題を抱えている。

  • 高い離職率

  • 人材不足による業務過多

  • モチベーション低下

  • キャリアパスの不明確さ

でも、『信長の野望』のシステムから、解決のヒントが見える。


フロア・チーム単位での権限委譲

『新生』の知行制のように、各フロアやチームに一定の権限を委譲する。

現場判断で動けるようにすることで、迅速な対応と職員の帰属意識向上が期待できる。

業務改善提案制度

『新生』の具申システムのように、現場の声を吸い上げる仕組みを作る。

QCサークルや小集団活動を通じて、職員が主体的に業務改善に取り組める環境を整備する。

認定制度・等級制度の整備

『新生』の身分・勲功システムのように、明確なキャリアパスを示す。

介護福祉士、ケアマネージャーなどの資格取得支援と、施設内認定制度を組み合わせる。


〇年末年始、ぜひプレイしてみてほしい

というわけで、私からの提案だ。

年末年始の静かな時間に、『信長の野望』をプレイしてみてほしい。

最新作の『新生』がおすすめだが、レトロゲーム好きなら『武将風雲録』も面白い。

プレイしながら、こう考えてみてほしい。

  • 「もし自分が大名だったら?」

  • 「この武将(社員)に、どの領地(業務)を任せるか?」

  • 「忠誠度が下がっている武将(社員)に、どう対処するか?」

  • 「短期的な戦果と、長期的な国力強化、どちらを優先するか?」

ゲームという安全な環境で、組織マネジメントの試行錯誤ができる。

失敗してもリセットすればいい。何度でもやり直せる。

そして不思議なことに、ゲームで学んだことは、実務にそのまま活きる。

「ああ、茶の湯(組織文化投資)を疎かにしたから、優秀な武将(社員)が辞めていったのか」

「具申(現場の提案)を無視し続けたら、誰も何も言わなくなった」

「全部自分で決めようとしたら(マイクロマネジメント)、組織が動かなくなった」

こういう「痛い経験」を、実際の経営でする前にゲームで学べるのだ。


おわりに:理論より体験、説明より実感

経営書を100冊読むより、1回のゲーム体験の方が腹落ちすることがある。

「エンゲージメントが大事」と言われても、ピンとこない。

でも、忠誠度が低い武将に裏切られて大敗する経験をすれば、身をもって理解できる。

「組織文化への投資が重要」と言われても、実感が湧かない。

でも、茶の湯に投資した国が繁栄し、投資しなかった国が衰退するのを見れば、納得できる。

信長の野望シリーズは、単なるゲームではない。

40年にわたって磨き上げられた、体験型の組織マネジメント教材なのだ。

年明けから、また忙しい日々が始まる。

その前に、ゲームの世界で「理想の組織」を作ってみるのも悪くない。

そしてそこで学んだことを、2025年の自社経営に活かしてみてほしい。

追伸:

私自身、この記事を書くために『新生』を改めてプレイしてみた。

10時間ほどプレイして気づいたのは、「ああ、自分も知らず知らずマイクロマネジメントしてたな」ということだ。

家臣に任せればいいのに、つい自分で全部決めたくなる。

これって、実際の経営でも同じだ。

ゲームという鏡を通して、自分のマネジメントスタイルが見える。

これが一番の収穫だった。

皆さんも、ぜひ試してみてほしい。

それでは、良いお年を。そして、良い天下統一を。

K&A Project LLC 代表DXコンサルタント / RPA認定エキスパート

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