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TBS日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」に学ぶ、中小企業のタレントマネジメント「人を見る目」をデータ化すれば、誰でも山王耕造になれる

〇競馬ドラマが教えてくれた人材マネジメントの本質

2025年10月から12月まで放送されたTBS日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」をご覧になりましたか?

競馬を題材にしたこのドラマ、実はビジネスパーソン、特に中小企業の経営者や人事担当者にとって、最高のタレントマネジメント教材なんです。

主人公は佐藤浩市さん演じる山王耕造。人材派遣会社を一代で築き上げたワンマン社長で、馬主として「日高の馬で有馬記念を勝つ」という夢を追います。

このドラマ、表面的には競馬の物語ですが、本質は「どうやって勝てるチームを作るか」という組織マネジメントの物語なんです。

今回は、山王耕造の人材登用から、中小企業が今すぐ実践できるタレントマネジメントの極意を読み解いていきます。


〇山王耕造の人材登用:「ありえない」選択の連続

山王耕造が作り上げた「チームロイヤル」。このメンバー構成を見ると、驚くべきことが分かります。

レーシングマネージャー:栗須栄治(妻夫木聡)

  • 前職は税理士

  • 競馬の知識はゼロ

  • 父を亡くして失意のどん底

普通なら「なぜ税理士を競馬マネージャーに?」と誰もが疑問を持つ人選です。

騎手:佐木隆二郎(高杉真宙)

  • 地方競馬の問題児

  • 中央競馬での実績ゼロ

  • 過去にトラブルあり

これも通常なら「リスクが高すぎる」と却下される人材です。

調教師:広中博(安藤政信)

  • 大物調教師と揉めて干されかけた過去

  • 業界で厄介者扱い

生産牧場:ノザキファーム

  • 経営難で廃業寸前

  • 牧場主は頑固で交渉決裂ばかり

表面的に見れば、全員が「ハイリスク人材」です。

でも結果として、このチームは次々と成果を上げていきます。なぜでしょうか?


〇山王耕造が見ていたもの:公式データの裏側

山王耕造には有名なセリフがあります。

「俺に馬を見る目は無い。ただ人を見る目はある」

彼が見ていたのは、履歴書に書かれた「公式データ」ではなく、その人間の「本質」でした。

栗須栄治について:

  • 公式データ:競馬知識ゼロ→使えない

  • 山王が見たもの:空虚感を抱えている=新しい挑戦を求めている、論理的思考力がある、誠実で粘り強い


佐木隆二郎について:

  • 公式データ:実績なし、問題あり→危険

  • 山王が見たもの:警戒心が強いロイヤルホープが、佐木には自然に懐いた=特別な才能がある


ノザキファームについて:

  • 公式データ:経営難→投資非推奨

  • 山王が見たもの:「勝つ気はあるのか」という問い=本気の覚悟がある、アメリカまで種付けに行く行動力


山王耕造は、誰もが「ダメだ」と判断する人材の中に、数値化できない価値を見出していたんです。


〇でも、これは「天才にしかできない」のか?

ここまで読んで、こう思いませんでしたか?

「山王耕造みたいな天才的な目利きがいればいいけど、うちには無理だ」

確かに、山王耕造レベルの「人を見る目」は、誰にでもあるわけではありません。

でも、諦めるのは早い。

実は、山王耕造の判断プロセスを分解すると、データ化・システム化できる部分が70%もあるんです。


タレントマネジメントシステム:山王耕造の「勘」をデータ化する

現代の人事管理では「タレントマネジメントシステム」という考え方があります。

簡単に言えば、社員一人ひとりの能力・適性・志向性をデータ化して、最適な配置を実現する仕組みです。

重要なのは、「公式データ」だけでなく「独自評価」も記録すること。

例えば、佐木隆二郎の評価をデータ化するとこうなります:

【佐木隆二郎 人材評価シート】

■公式データ
・中央競馬実績:0勝
・資格:地方競馬騎手免許
・総合評価:D(採用非推奨)

■独自評価(5段階)
・騎乗技術:5
・馬との対話力:5
・問題馬対応力:5
・センス:5
・協調性:3(要注意)

■観察記録
・2013年○月○日:育成牧場で騎乗
・ロイヤルホープが佐木に懐く
・警戒心が極端に強い馬が、初対面で信頼
・人馬一体感:過去最高レベル

■所見(評価者:山王耕造)
「公式データでは評価できないが、
 馬との相性は本物。
 リスクを取って起用する価値あり」

■決定:起用する

これを記録しておけば:

  1. 次に問題馬が来た時、「佐木が適任」とすぐ判断できる

  2. 似たタイプの人材が来た時、「佐木パターン」として参考にできる

  3. 山王耕造がいなくなっても、組織の資産として残る

山王耕造の「暗黙知」を「形式知」に変換する。これがタレントマネジメントの本質です。


〇中小企業の現実:「覚悟と情熱はあるが、手法が間違っている」

「うちの社員は優秀だ!」でも離職率が高い「俺の勘は間違っていない!」でも成果が出ない「この事業に全てを賭ける!」でも社員がついてこない

覚悟も情熱も100点満点。でも手法がゼロ点

実は、初期の山王耕造もそうでした。馬主歴20数年でG1勝利なし。覚悟はあるのに結果が出ない。

何が変わったか?

栗須栄治という「システム」を得たことです。

栗須は税理士らしく、データ管理、論理的分析、プロセスの可視化を持ち込みました。広中調教師は血統データベースと科学的アプローチを持ち込みました。

つまり、山王耕造の「覚悟と情熱」に「正しい手法」が加わったから勝てるようになったんです。


今すぐできる:3ステップのタレントマネジメント導入

「システムなんて大げさなもの、うちには必要ない」

そう思いましたか?大丈夫です。最初はExcelで十分です。

【ステップ1:社員の「独自評価」を記録する】

公式データ(学歴・資格・経歴)に加えて、あなたが感じた「何か」を記録してください。

・Aさん:営業成績は普通だが、顧客からの信頼が厚い
・Bさん:口下手だが、資料作成が異常に丁寧
・Cさん:協調性に難ありだが、問題解決力が高い

【ステップ2:適性を分析する】

その「何か」は、どの業務で活きるか?

・Aさん:新規開拓より既存顧客深耕が向いている
・Bさん:営業よりバックオフィスが向いている
・Cさん:チームより個人プレイが向いている

【ステップ3:配置を見直す】

データに基づいて、思い切って配置転換してみる。

山王耕造が税理士を競馬マネージャーにしたように、「まさか」の配置が大成功することもあります。



〇最後に残る30%:それでも経営者にしかできないこと

タレントマネジメントシステムは素晴らしいツールです。でも、万能ではありません。

佐木隆二郎の起用を思い出してください。

システムなら確実に言うでしょう:「リスクが高いので推奨しません」

でも山王耕造は、ロイヤルホープと佐木の「人馬一体感」を見て、リスクを承知で起用を決めました。

この「最後の決断」は、経営者にしかできません。

データは70%の判断をサポートしてくれます。でも残り30%、最もリスクが高く、最も成果が大きい判断は、あなたの覚悟と情熱が必要です。

山王耕造の有名なセリフを思い出してください。

調教師の広中が提案した馬の出走変更に、最初は反対した山王。でも最後にはこう言いました。

「それで勝てんだろうな!」

信頼の表明、責任の共有、そして覚悟。この言葉一つで、専門家との信頼関係が深まり、チームが一つになる。

これはシステムでは代替できない、経営者の仕事です。


〇あなたも山王耕造になれる

タレントマネジメントシステムを導入すれば:

  • あなたの「勘」がデータになる

  • 成功パターンが組織の資産になる

  • 次の判断が早く、正確になる

そして、データに裏付けられた自信を持って、最後の30%、リスクを取った決断ができるようになります。

山王耕造のような天才経営者になるのは難しい。でも、山王耕造の70%の判断力を持つチームは作れます。

必要なのは:

  1. 社員の「本質」を見る目を養う(日々の観察)

  2. それをデータ化する(記録する習慣)

  3. 最後は覚悟を持って決断する(経営者の仕事)

「ザ・ロイヤルファミリー」は、ただの競馬ドラマではありません。

覚悟と情熱を持つ経営者が、正しい手法を得て、最強のチームを作る物語です。

あなたの会社にも、栗須栄治や佐木隆二郎のようなダイヤの原石が眠っているかもしれません。

タレントマネジメントという手法で、その原石を見つけ、磨き、輝かせる。

それが、これからの中小企業経営に必要なことではないでしょうか。

【著者プロフィール】 K&A Project LLC 代表パートナー RPA Certified Expert / データサイエンティスト / ITコンサルタント

中小企業のDX推進、業務改善、組織開発を専門とし、「データサイエンス×産業カウンセリング」の視点から、経営者に伴走するコンサルティングを提供。戦国史、ガンダム、F1など多様な題材からビジネスの本質を読み解く独自のアプローチに定評がある。


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