コーエーの『三国志』が教えてくれた、左遷・閑職を「最高の自己投資期間」に変える方法
- 吉田 薫

- 2025年12月26日
- 読了時間: 12分

年末年始、ビジネスパーソンこそプレイすべき"キャリアシミュレーター"がある
〇40年の歴史を持つゲームが、なぜ今ビジネスパーソンに必要なのか
「何かゲームでもやろうかな」
そう思ったとき、私はコーエーテクモゲームスの『三国志13 with パワーアップキット』を手に取った。
三国志シリーズ。1985年の初代発売から40年近く続く、歴史シミュレーションの金字塔だ。
余談だが、武将プレイの名作『三国志Ⅶ』ならスマホでもプレイできる。ゲーム機がなくても、通勤時間にも、気軽に始められる。
子供の頃にプレイした記憶はある。でも、40代になった今、改めてプレイしてみて驚愕した。
このゲーム、完璧なキャリアシミュレーターじゃないか。
特に、「武将プレイモード」。
これは、組織のトップ(君主)としてではなく、組織の一員(武将)として三国時代を生きるモードだ。
そこで私が経験したのは、まさに現実のビジネスパーソンが直面する問題そのものだった。
〇ゲームの中で「左遷」された
プレイ開始から3年目。私の武将は、辺境の小さな城の「太守」に任命された。
周囲を見渡しても、敵国はいない。内政の開発も既に終わっている。
つまり、やることが何もない。
「これ、完全に左遷じゃないか」
ゲームなのに、妙にリアルに感じた。
現実の仕事でも、こういうことはある。地方支店への異動。やりがいのないポジション。出世コースから外れたと感じる瞬間。
コーエーの『三国志』は、そんな「キャリアの暗黒期」すら、完璧に再現していた。
〇ゲームが提示した、3つの選択肢
画面を見つめていると、ゲームは私に選択を迫る。
選択肢①:放浪の旅に出る(転職)
今の勢力を辞めて、他国に仕官する。もっと活躍できる場所を探す。
選択肢②:反乱を起こす(独立)
自分で独立して、新しい勢力を興す。
選択肢③:ここに留まる
でも、やることがない。ただ時間が流れるだけ。
普通なら、①か②を選ぶだろう。
何もやることがない僻地で、ただ時間を無駄にするなんて、バカらしい。
でも、私はふと思った。
「待てよ。『やることがない』って、裏を返せば『時間がある』って事じゃないか」
そして、気づいた。
コーエーの『三国志』には、武将の能力を上げるシステムがある。
〇「知力」を極限まで磨いた2年間
三国志の武将には、5つの能力値がある。
統率:部隊を率いる力
武力:戦闘での強さ
知力:戦略・戦術の才能
政治:内政の能力
魅力:人を惹きつける力
そして、さまざまな「特技」。
戦場で活躍すれば武力が上がる。内政を担当すれば政治が上がる。
でも、忙しい前線にいると、能力を集中的に伸ばす時間がない。目の前の仕事をこなすだけで精一杯だ。
しかし今、僻地にいる。やることがない。
「だったら、この時間を使って、徹底的に能力を磨こう」
私は「知力」を上げることにした。
〇なぜ「知力」だったのか──組織内での戦略的ポジショニング
実は、私の武将は「将軍」キャラクターでスタートしていた。
つまり、本来は武力を伸ばして戦場で活躍する道が王道だった。
でも、組織を見渡すと、気づいた。
武力の高い武将が、山ほどいる。
呂布、関羽、張飛、趙雲...
彼らと同じ土俵で戦っても、勝てるわけがない。
そして、ここで重要なことに気づいた。
ゲームなのに、自分が中心から外される。
呂布がいれば、戦場の主役は呂布だ。自分は脇役になる。
そして、自分ではその状況を変えられない。
組織の人事は、君主が決める。自分で「俺を主力にしろ」とは言えない。
これは、画期的だった。
普通のゲームなら、プレイヤーキャラクターが常に中心だ。
でも、コーエーの『三国志』武将プレイは違う。
組織の中の一人として、現実的な立ち位置を強いられる。
そこで、私は戦略的に考えた。
「武力では、呂布たちに勝てない。だったら、別の土俵で勝負しよう」
知力だ。
組織を見渡すと、優秀な軍師が少ない。
戦場で剣を振るうのではなく、戦略を描く。調略で敵を引き抜く。外交で同盟を結ぶ。
そっちの道なら、活躍できる。
〇これは、現実のビジネスとまったく同じだった
ゲームを終えて、私は現実の事例を思い出した。
ケース②:営業部のエースになれなかった佐藤氏
佐藤氏(仮名・35歳)は、入社3年目の営業マンだった。
同期には、天才的な営業がいた。入社1年目から、毎月トップの成績。顧客との関係構築が抜群にうまい。
「あいつには勝てない」
佐藤氏は、そう感じていた。
でも、ある日気づいた。
「営業で勝てないなら、別の土俵で勝負すればいいんじゃないか」
彼は、営業データの分析を始めた。
Excelを学び、BIツールを使い、営業プロセスを可視化した。
「このエリアは、この商品が売れやすい」 「このタイミングで訪問すると、成約率が上がる」
データに基づいた提案を、営業部全体に共有した。
そして、2年後。
佐藤氏は「営業企画室」に異動し、営業戦略を描く立場になった。
これは、私がゲームで経験した「知力を伸ばして軍師になる」戦略と、完全に同じだ。
営業の天才(呂布)がいる組織で、同じ土俵で戦っても勝てない。
だから、別の能力(知力=データ分析)を磨いて、別のポジション(軍師=営業企画)を獲得する。
〇「差別化」こそが、組織内で生き残る鍵
コーエーの『三国志』が教えてくれるのは、組織内での差別化戦略だ。
全員が同じ能力を伸ばしても、既に優秀な人材がいれば、埋もれるだけだ。
でも、組織を俯瞰して、「足りていない能力」を見つけて、そこを伸ばせば、唯一無二の存在になれる。
これは、経営学で言う「ブルーオーシャン戦略」だ。
レッドオーシャン(競争の激しい市場)で戦うのではなく、ブルーオーシャン(競争のない市場)を見つけて勝負する。
組織の中でも、同じことができる。
現代のビジネスパーソンへの示唆
あなたの組織を見渡してみてほしい。
営業の天才がたくさんいるなら、営業で勝負しても埋もれる。データ分析やマーケティングを学ぼう。
技術者が優秀すぎるなら、技術だけで勝負せず、顧客折衝やプロジェクト管理のスキルを磨こう。
企画職が多いなら、実行力や数字管理で差別化しよう。
自分の強みだけでなく、組織の「空白地帯」を見つける。
そこに自分をポジショニングすれば、唯一無二の価値を発揮できる。
コーエーの『三国志』は、これを完璧にシミュレートさせてくれる。
〇「軍師」として呼び戻された
そのとき、君主からメッセージが届いた。
「お前を軍師に任命する。都に戻れ」
勢力が拡大し、戦いが激しくなるにつれ、優秀な軍師が必要になった。
そして、知力が極限まで高まった私の武将が、その役割を担うことになったのだ。
都に戻った私は、軍師として活躍した。
調略で敵の武将を引き抜き、外交で同盟を結び、戦術で戦場を支配した。
そして、勢力は天下統一を果たした。
僻地での5年間がなければ、この結果はなかった。
あのとき、放浪の旅に出て他国に転職していたら、おそらく平凡な武将のまま終わっていただろう。
独立しても、能力不足で潰れていただろう。
でも、留まって、自分を磨いた。
その選択が、すべてを変えた。

〇なぜ『三国志』は、ここまでリアルなのか
コーエーの『三国志』シリーズは、1985年の初代から一貫して「個人のキャリア」を描いてきた。
特に『三国志13 with パワーアップキット』(2017年)では、「武将プレイ」が極限まで進化している。
「威名システム」──6つのキャリアパス
ゲームには「威名」というシステムがある。これは、武将の「キャリアパス」を表す。
侠客:組織に属さず、フリーランスとして生きる
商人:富を築き、ビジネスで成功する
将軍:専門性を極め、スペシャリストになる
武官:現場で実績を上げ、プロジェクトリーダーとして活躍する
軍師:戦略を描き、コンサルタント・企画職として貢献する
官吏:内政・外交で組織を支える、人事・総務のプロになる
そして、威名は何度でも変更できる。
つまり、キャリアチェンジが可能なのだ。
最初は武官(営業)として働き、後に軍師(企画職)に転換する。 商人(ビジネス)として富を築いた後、侠客(独立)として自由に生きる。
これは、現代の「キャリア自律」「複業」「リスキリング」の概念を、30年以上前から実装していたことになる。
「身分・勲功システム」──昇進の仕組み
ゲームでは、戦闘や内政で「勲功」を獲得することで「身分」が上がる。
一般武将→重臣→太守→都督→君主
現実の組織で言えば:
平社員→課長→支店長→執行役員→社長
昇進するには、目に見える成果(勲功)が必要。でも、能力がなければ成果は出せない。
だから、僻地で能力を磨く期間が、後の昇進につながる。
「絆システム」──人間関係資本
ゲームには「絆」というシステムもある。
他の武将と信頼関係を結ぶと、一緒に戦うとき能力が上がる。転職するときも、絆がある武将がいる組織の方が受け入れられやすい。
これは、現代の「ソーシャルキャピタル(人間関係資本)」そのものだ。
転職も、独立も、ピンチのときも、結局は人間関係が助けてくれる。
〇データが示す「自己投資の効果」
リクルートワークス研究所の調査によれば、40代で自己啓発(資格取得、勉強会参加など)に積極的に取り組んだ人の約72%が、「その後のキャリアにプラスの影響があった」と回答している。
一方、自己啓発に取り組まなかった人では、その割合はわずか23%だった。
つまり、自己投資をするかしないかで、キャリアの成功確率が3倍以上違う。
そして、自己投資に最も適しているのが、「時間がある」閑職期間なのだ。
コーエーの『三国志』は、これを見事にシミュレートしている。
〇40代管理職が『三国志』をプレイすべき理由
なぜ、ビジネスパーソン、特に40代がコーエーの『三国志』をプレイすべきなのか。
理由①:リスクゼロで「キャリアの選択」を試せる
現実のキャリアでは、失敗のコストが大きい。
転職に失敗すれば、キャリアに傷がつく。 独立に失敗すれば、借金を抱える。 スキル選択を間違えれば、時間を無駄にする。
でも、ゲームなら何度でも失敗できる。
僻地の太守になったとき、転職するか、留まるか、能力を磨くか。
全部試せる。
そして、「ああ、能力を磨いてから動いた方が、選択肢が広がるんだな」と、体験として学べる。
理由②:「一人の人間」の視点で組織を見られる
経営者向けのゲームは多い。『信長の野望』もそうだ。
でも、『三国志』の武将プレイは違う。
組織の中の一人として、どう生きるか。
これは、大多数のビジネスパーソンが直面する現実だ。
君主(社長)を選べない。異動を拒否できない。評価されないこともある。
でも、その中で何ができるか。
コーエーの『三国志』は、それを徹底的にシミュレートさせてくれる。
理由③:スマホでいつでも、どこでも学べる
『三国志Ⅶ』なら、スマホでプレイできる。
2000年に発売された武将プレイの名作が、今はスマホで手軽に遊べる時代だ。
通勤時間の30分。昼休みの15分。寝る前の20分。
こうした隙間時間を使って、キャリアシミュレーションができる。
「ゲーム機を買わなきゃ」「まとまった時間を確保しなきゃ」という心理的ハードルがない。
今日の帰り道から、もう始められる。
理由④:年末年始という「時間」を有効活用できる
年末年始、まとまった時間が取れる。
この時間を、何に使うか。
ただボーッとテレビを見て過ごすこともできる。
でも、『三国志』をプレイしながら、自分のキャリアを考える時間にすることもできる。
ゲームとして楽しみながら、**「もし自分が僻地に飛ばされたら、どうするか」**を考える。
これは、2025年のキャリア戦略を考える、最高の準備運動になる。
〇プレイして気づいた、3つの重要な教訓
実際に『三国志13 PK』を50時間以上プレイして、私が学んだことは3つある。
教訓①:環境のせいにしても、何も変わらない
ゲームの中で、無能な君主に仕えることもある。僻地に飛ばされることもある。
でも、環境を嘆いても、何も変わらない。
変えられるのは、自分の行動だけだ。
能力を磨く。人脈を作る。転職する。独立する。
どれを選ぶかは、自分次第。
教訓②:組織内での「空白地帯」を見つけろ
将軍キャラでスタートしたのに、組織には呂布がいた。
このまま武力で勝負しても、絶対に勝てない。
だから、知力を磨いて軍師になる道を選んだ。
これが「差別化戦略」だ。
現実のビジネスでも同じ。
営業の天才がいる組織で、営業で勝負しても埋もれる。 技術のエースがいる部署で、技術だけで勝負しても二番手だ。
でも、「組織に足りていない能力」を見つけて、そこを磨けば、唯一無二になれる。
ゲームは、これを強制的に経験させてくれる。
教訓③:成功の定義は、自分で決めていい
ゲームには、30種類以上のエンディングがある。
天下統一して歴史に名を残すのも成功。 富を築いて悠々自適に暮らすのも成功。 自由に生きるのも成功。 家族と幸せに過ごすのも成功。
現実でも同じだ。
大企業の役員になるのが成功?年収1000万円が成功?
違う。自分にとっての成功を、自分で定義していい。
〇年末年始、あなたも「僻地の太守」になってみませんか
この記事を書きながら、私は改めて思う。
コーエーの『三国志』は、単なるゲームじゃない。
40年にわたって磨き上げられた、人生シミュレーターだ。
特に、武将プレイモードは、「組織の中の一人として、どう生きるか」を完璧に再現している。
年末年始、もし少し時間があるなら。
まず、スマホで『三国志Ⅶ』を試してみてほしい。
武将プレイの名作が、アプリで気軽に遊べる。ゲーム機がなくても大丈夫。アプリをダウンロードすれば、すぐに始められる。
通勤時間の30分でも、十分にプレイできる。
そして、面白いと感じたら、年末年始に『三国志13 with パワーアップキット』でじっくり腰を据えてプレイしてみてほしい。
そして、僻地の太守になってみてほしい。
やることがない。評価されない。未来が見えない。
その状況で、あなたはどうするか。
腐るか。逃げるか。成長するか。
ゲームという安全な場所で、何度でも試してみてほしい。
そこで学んだことは、きっと2025年のあなたのキャリアに活きる。
たかがゲーム、と思うかもしれない。
でも、コーエーの『三国志』は、40年間、何百万人ものプレイヤーに「人生の選択」を考えさせてきた。
あなたも、その一人になってみませんか。
執筆者プロフィール
K&A Project LLC 代表DXコンサルタント / 組織開発コンサルタント
中小企業・医療介護施設を中心に組織改革・DX推進を支援。RPA認定エキスパート、応用情報技術者。




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