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"静かに辞める人"を防ぐ、今こそ6月の職場点検

サイレント退職──会社に何も言わず、音もなく離職の準備を進める社員が増えています。「うちの社員は大丈夫」と思っている職場ほど、7月に突然の退職届が並ぶ可能性も。特に6月は、その“兆候”が見え始める重要なタイミングです。


この記事では、なぜ今「6月の職場点検」が重要なのか、そして“サイレント退職状態”とはどのようなものかを、データと行動の特徴から解き明かしていきます。





■サイレント退職とは「もう辞めるけど、何も言わない」状態

サイレント退職とは、実質的に心が職場から離れた状態です。転職活動を水面下で進めている、すでに内定を得ている、あるいは辞める覚悟だけは固めている──でも何も言わない。表向きは業務をこなしていても、心はもう“会社の外”にあるのです。


この状態が最も表れやすいのが6月新卒社員は3ヶ月を過ぎたタイミングで環境の現実に向き合い、中堅社員は人事異動や評価制度の影響が出始める時期。実際に離職届が出るのは7月・8月でも、「辞める」決意は6月には固まっているケースが非常に多いのです。


サイレント退職の実態とデータ

  • 米Gallup社の調査(2022)によると、世界中の労働者のうち「積極的に関与していない(disengaged)」社員は全体の約59%。このうち「静かに関わりを減らしている(Quiet Quitting)」層は過半数に及び、問題は世界共通です。

  • 特に20〜30代のミレニアル世代やZ世代では、職場へのロイヤルティが低下し、上司との信頼関係が薄い場合にサイレント退職の傾向が強まるとされています。

  • 日本国内でも、2023年のエン・ジャパンの調査では、転職者の約15%が「上司や周囲に一切告げずに転職活動を進めた」と回答しています。

  • また、退職理由の上位は「人間関係」「成長実感の欠如」「評価不信」。これらはいずれも“直接言いづらい理由”であり、結果として静かな離職を招いています。


■今すぐできる、“サイレント退職”の兆候チェックリスト

以下は、実際に“サイレント退職状態”にある社員が取りがちな行動です。これらの行動は、本人が明確に「辞める」と言わなくても、“もう決意している”サインであることが少なくありません。


  • 雑談やランチへの参加がなくなる

    • 心理的に職場から距離を取ろうとしている兆候。「会話が面倒」「関係性を保ちたくない」という無意識の表れ。

  • チャットやメールの反応が遅くなる/そっけない

    • わざとではなく、気持ちがもう職場にないため優先順位が下がっている状態。改善には“内容より関心”を寄せるコミュニケーションが有効。

  • ボーナス支給直後に明るくなる

    • 金銭的な目標達成で退職準備が整った可能性。過去のケースでは、ボーナス支給後1〜2週間で辞意表明される事例が多い。

  • 残業・会議を極端に避け始める

    • 会社への“時間的投資”をやめる行動。すでに業務への責任感が希薄になっている可能性あり。

  • 意見をまったく言わなくなる

    • サイレント退職者は「どうせ変わらない」「何を言ってもムダ」とあきらめモード。会議で沈黙が増えるのは危険信号です。

  • 社内SNSや飲み会の誘いを一切無視

    • “もうこの場所に属していない”感覚が強い場合、職場イベントへの無反応で現れます。

  • 仕事の質は保っているが、前向きさがゼロ

    • 表面上は責任を果たしているように見えても、内面では完全に興味を失っている。熱意や提案が消えたら要注意。


■「見えないサイン」に気づく、6月の職場点検のすすめ

大切なのは、これらの兆候を“責める”のではなく、“気づいて寄り添う”ことです。「最近、顔見ないね」「疲れてない?」といった、ほんの一言が離職の決意を揺るがせることもあります。


Gallupのデータでも、「上司の声かけひとつで、辞意が変わった経験がある」とする社員は全体の36%。逆に“無関心”が最も離職を後押しする要因になり得ます。


■まとめ:6月は“サイレント退職”に目を向ける月

  • サイレント退職とは「心がすでに辞めている」状態。

  • 兆候は表面上見えづらいが、行動の変化として現れる。

  • 6月はその変化が最も顕在化する“分かれ道”。

  • 一言の声かけ、関心、対話が、組織と個人の関係を修復する糸口になる。


「辞めると言われてからでは遅い」。

6月の今こそ、チームの“静かなサイン”に気づける組織体質が問われています。



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