97%の中小企業が連邦軍の轍を踏んでいる!「ホワイトベース型人的資本経営」という逆転戦略
- 吉田 薫

- 7月25日
- 読了時間: 20分

「宇宙で救出する指揮官はホワイトベースのブライト・ノアだ」
Zガンダム第27話「シャアの帰還」—追い詰められたシャア・アズナブルが部下の不安を払拭するために放った一言だ。注目すべきは、宿敵シャアが「ブライト・ノア」ではなく「ホワイトベースのブライト・ノア」と言ったことである。
なぜ元敵対者のシャアが、危機的状況で「ホワイトベース出身」というブランドに絶対的な信頼を寄せたのか?
答えは残酷なほど単純だ。
連邦軍の大艦隊が惨敗を重ねる中、わずか十数名の寄せ集めチームが圧倒的な戦果を叩き出し続けたからである。
〇連邦軍の人材戦略は完全に間違っていた
97%の中小企業が犯している致命的な過ち
断言しよう。あなたの会社の人材戦略は間違っている。なぜなら、それは「連邦軍の真似」だからだ。
現在、中小企業で真の人的資本経営に「十分取り組めている」企業はわずか3%(!)。残り97%の企業は何をしているのか?「ある程度取り組めている」企業も含めて、大企業の人材戦略を盲目的に模倣し、連邦軍と同じ失敗を繰り返しているのだ。
有名大学出身者の採用に固執する「エリート偏重主義」
体系的な研修プログラムを夢見る「官僚主義」
長期雇用を前提とした「大艦巨砲主義」
専門分化による効率追求という「前例主義」
これらすべてが、連邦軍がジオンに惨敗した理由と全く同じなのだ。
ガルマ・ザビの戦死に学ぶ「エリート偏重」の破綻
連邦軍の人材戦略を象徴するのが、エリート主義の極致だった。士官学校を優秀な成績で卒業し、軍事理論に精通し、華々しい経歴を持つ者こそが「優秀な人材」とされた。
しかし現実はどうだったか?
ガルマ・ザビは確かにエリートだった。ジオン軍の英才教育を受け、理論的知識も豊富で、カリスマ性も備えていた。連邦軍の基準なら、間違いなく「優秀な指揮官」と評価されただろう。
だが、そのガルマが実戦でどうなったか?ホワイトベースという「素人集団」に翻弄され、最期はシャアの謀略で戦死した。エリートの理論など、実戦では何の役にも立たなかったのだ。
一方、ホワイトベース隊はどうだったか?
ブライト・ノア:19歳、実戦経験ゼロの新米艦長
アムロ・レイ:15歳、機械いじりが好きなだけの少年
ハヤト・コバヤシ:特に取り柄のない一般市民
カイ・シデン:やる気のない、ひねくれた青年
連邦軍の人事部が見たら、「最悪の人材構成」と評価したであろう面々だ。しかし、この「素人集団」がガルマを含むジオンのエース部隊を次々と撃破していったのである。
レビル将軍の慢心が招いた「物量主義」の限界
連邦軍のもう一つの致命的な誤りが「物量主義」だった。レビル将軍の有名な演説「ジオンに兵なし」が象徴するように、「数さえ揃えば勝てる」という発想が支配的だった。
人材戦略においても同様だ。「とにかく大量の人材を確保し、標準化された教育を施せば成果が出る」—これが連邦軍的思考の本質である。
しかし、開戦初期の現実は残酷だった。連邦軍の大艦隊は、ザクⅡわずか数機に壊滅させられた。
物量で劣る側が、質で圧倒的に勝る—これがモビルスーツ戦争の現実だった。
現代の中小企業でも全く同じことが起きている。大企業が100人の「標準的人材」で取り組む業務を、中小企業は10人の「特化型人材」でより高い成果を出すことができる。しかし、97%の中小企業は「大企業の真似」をして自爆している。
ジャブロー攻防戦に見る「官僚主義」の毒
連邦軍の官僚主義が最も露呈したのが、ジャブロー攻防戦だった。地下深くに隠された連邦軍総司令部は、確かに物理的には安全だった。しかし、現場から隔離された官僚的組織は、現実の戦況を把握できず、的外れな指示を連発した。
一方、ホワイトベース隊の意思決定は全く違った。ブライト艦長は最前線で状況を把握し、クルーと直接コミュニケーションを取り、リアルタイムで戦術を調整していた。官僚的な階層構造など存在しなかった。
現代の中小企業経営者で、この教訓を理解している者は何人いるだろうか?
大企業の人事制度を真似て、複雑な階層構造を作り、現場から離れた管理部門を設置し、「体系的な人材育成プログラム」の構築に血道を上げる。その結果、現場のニーズと完全に乖離した「机上の空論」が量産される。
官僚主義は組織を内部から腐らせる毒である。
〇なぜホワイトベース隊だけが勝ち続けたのか
「異常人事」こそが正解だった理由
我々50代が新人だった1990年代、「大企業に入れば安泰」が常識だった。終身雇用、年功序列、手厚い研修制度—それが「正解」だと信じていた。
しかし、バブル崩壊、リーマンショック、コロナ禍を経験した今、その「正解」が完全な幻想だったことは明らかだ。
ホワイトベース隊が1979年に示したのは、まさにこの「常識の破綻」だった。
19歳のブライト・ノアを艦長に抜擢—連邦軍の常識では考えられない「異常人事」だった。通常なら、士官学校を首席で卒業し、15年の実戦経験を積んだベテランが艦長になるべきだった。
だが、その「常識」に従った艦隊は次々とザクの餌食になった。一方、「素人」ブライトが指揮するホワイトベースは、シャア・アズナブルの猛攻を退け続けた。
なぜか?
若さゆえの柔軟性が、ベテランの既成概念を凌駕したからだ。
ブライトには「こうすべき」という固定観念がなかった。だからこそ、前例のない戦術を次々と編み出し、予測不可能な機動で敵を翻弄できた。経験豊富なベテラン艦長なら、「教科書通り」の戦術に固執して敗北していただろう。
アムロが証明した「素人最強」理論
さらに衝撃的だったのが、アムロ・レイの覚醒だった。
15歳の機械オタク少年が、連邦軍のエリートパイロットたちを遥かに上回る戦果を叩き出したのだ。軍事訓練も受けていない、戦闘経験もゼロ、パイロット適性検査すら受けていない「完全な素人」が、である。
連邦軍のエリートパイロットたちは何をしていたのか?
彼らは飛行学校で「正しい操縦法」を学び、軍事アカデミーで「戦術理論」を習得し、「標準的な戦闘マニュアル」を完璧に暗記していた。しかし、その「正しい知識」がモビルスーツ戦では全く通用しなかった。
なぜなら、モビルスーツ戦は「前例のない戦争」だったからだ。
アムロには「正しい操縦法」の知識がなかった。だからこそ、ガンダムの性能を直感的に理解し、機体と一体化するような操縦を編み出すことができた。「教科書」に縛られていたら、決して到達できない境地だった。
これこそが、現代の中小企業が学ぶべき最重要の教訓である。
「業界の常識」を知らない新人こそが、革新的な成果を生み出す可能性を秘めている。
セイラ・マスの「一人三役」が示した真の効率性
大企業の人材戦略は「専門分化による効率追求」を金科玉条とする。一人一人に明確に役割を分担し、専門性を高めることで組織全体の生産性を向上させる—これが「科学的経営」の基本原則だとされている。
しかし、セイラ・マスを見よ。
彼女は本来オペレーターだった。しかし、人手不足のため医療スタッフも務め、緊急時にはパイロットとして戦闘にも参加し、さらには潜入任務や交渉役まで担った。
大企業の人事部が見たら、「業務の境界が曖昧」「専門性が中途半端」「効率が悪い」と批判したであろう。
だが現実はどうだったか?
セイラの多機能性こそが、ホワイトベース隊の生存確率を劇的に向上させたのだ。医学知識があるからこそ負傷者の応急処置ができ、パイロット経験があるからこそ戦況を的確に把握でき、オペレーターとしての通信技術があるからこそ潜入任務も成功させることができた。
「一人三役」は非効率ではない。むしろ、限られた人材で最大の成果を出すための最適解なのだ。
カイ・シデンの「現実主義」がチームを救った瞬間
連邦軍の理想主義に対して、ホワイトベース隊が持っていたのは徹底的な「現実主義」だった。その象徴がカイ・シデンである。
やる気がなく、ひねくれていて、理想論を嫌う—連邦軍なら「問題児」として処分対象になったであろう人材だ。しかし、このカイの「現実的な判断力」が何度もチームを危機から救った。
特に印象的なのが、ランバ・ラル隊との戦闘だった。アムロが精神的に追い詰められ、他のメンバーも理想論に走りがちな中、カイだけが冷静に戦況を分析し、「今は撤退すべき」という現実的な判断を下した。
もしカイがいなかったら、ホワイトベース隊は全滅していただろう。
組織には必ず「現実主義者」が必要である。理想論だけでは生き残れない。

〇連邦軍型を捨ててホワイトベース型に転換せよ
「エリート採用」から「素材発掘」への転換
東京大学出身の新卒社員を採用できないことを嘆いているのか?大手企業での経験を持つ中途採用者が来ないことを悔しがっているのか?
それは完全に間違った発想だ。連邦軍と同じ過ちを犯している。
ホワイトベース隊を思い出せ。アムロは機械いじりが好きなだけの15歳の少年だった。ハヤトもカイも特別な才能があったわけではない。セイラは医学生、フラウは完全な民間人だった。
彼らは決して「エリート候補」として選ばれたのではない。戦争に巻き込まれた一般的な若者たちだったのだ。
しかし、ホワイトベースという環境と育成システムによって、全員が驚異的な成長を遂げた。アムロは世界最高のパイロットとなり、ブライトは一流の指揮官に、ハヤトも信頼できる戦力へと変貌した。
つまり、ホワイトベース型人的資本経営の本質は「平凡な人材でもニュータイプになりうる」という信念と、それを実現するシステムにある。
中小企業にとって、この発想転換は極めて重要だ。「優秀な人材が採用できない」と嘆くのではなく、「平凡な人材を優秀に育て上げる」システムを構築することこそが、真の競争優位を生み出すのだ。
「段階的育成」から「実戦投入」への転換
連邦軍の人材育成は典型的な「段階的育成」だった。まず基礎訓練、次に応用訓練、その後シミュレーション、最後に実戦配備—このように段階を踏んで「安全に」育成することが「正しい」とされていた。
しかし、この方法で育成された連邦軍パイロットたちは、実戦でザクⅡの前に次々と撃墜された。「安全な」育成環境で身につけたスキルは、命懸けの実戦では全く役に立たなかったのだ。
一方、ホワイトベース隊の育成は「実戦投入」が基本だった。
アムロはいきなりガンダムに乗せられ、戦闘しながら操縦方法を覚えた。ハヤトもガンタンクで実戦を経験し、失敗を重ねながら戦術を身につけた。ブライトも19歳でいきなり艦長に就任し、毎日が危機的状況の中で指揮能力を磨いた。
「深水に飛び込む」式の育成法こそが、短期間で最大の成長を実現する唯一の方法なのだ。
現代の中小企業でも、この実戦育成法は極めて有効だ。新入社員を入社1週間で重要業務に参加させ、1ヶ月でプロジェクトの一部を担当させ、3ヶ月で独立した業務遂行を任せ、6ヶ月でチームリーダー候補に育て上げる。
もちろん失敗は前提だ。しかし、緊張感のある環境に置くことで、人間の潜在能力を最大限引き出すことができる。
「長期雇用」から「卒業前提」への転換
最も重要で、最も理解されにくいのが、この「卒業前提」投資戦略だ。
一見すると逆説的に思える。せっかく育てた人材が転職や独立をするのは、投資の無駄遣いのように感じられるからだ。
しかし、ホワイトベース隊の「卒業生」たちを見よ。
一年戦争から数年後、彼らは宇宙世紀の歴史を動かす重要人物として各所で活躍していた。ブライト・ノアはエゥーゴの中枢として反連邦運動を指揮し、ハヤト・コバヤシはカラバのリーダーとして地球圏反連邦組織を率い、アムロ・レイはロンド・ベルの中核として地球圏の平和を守護していた。
そして重要なのは、彼らがどこに行っても「ホワイトベース出身」というブランドが最高の信頼の証になったことだ。
シャアが危機的状況で「ホワイトベースのブライト・ノア」と言ったのは、偶然ではない。業界全体が「ホワイトベース出身なら間違いない」と認識していたからだ。
現代の中小企業でも、この戦略は大きな価値を生み出す。
まず、3-5年での育成完了を目標とすることで、短期集中での効率的な人材育成が可能になる。また、「この会社で働けば、業界で通用する一流のスキルが身につく」という期待感は、優秀な人材の獲得と定着に大きく貢献する。
さらに、卒業後の価値創出も無視できない。転職先での「○○会社出身」ブランド価値、業界での人脈ネットワーク構築、将来的な事業提携・協業機会、優秀な後輩の紹介効果など、直接的な売上には現れない価値が継続的に生み出される。
〇「ホワイトベース出身」ブランドの構築法
リュウ・ホセイの犠牲が教える「全員エース化」戦略
ホワイトベース隊で最も重要でありながら見落とされがちなのが、リュウ・ホセイの存在だ。
彼は戦果こそアムロに及ばなかったが、チーム全体を支える「縁の下の力持ち」として機能していた。ハヤトやアムロへの指導、チーム内の調整役、危機的状況での冷静な判断—リュウがいたからこそ、ホワイトベース隊は「チーム」として機能できた。
そのリュウが命を懸けてアムロを守り、戦死した。この犠牲が、ホワイトベース隊を「単なる強いチーム」から「伝説の部隊」へと昇華させたのだ。
全員が何らかの分野でエース級の実力を身につけ、同時に他のメンバーを支える意識を持つ—これが「全員エース化」戦略の本質である。
現代の中小企業でも、この原則は極めて重要だ。営業担当者であれば、顧客開拓という本来業務で圧倒的な成果を出しつつ、同時に企画機能、マーケティング機能、カスタマーサポート機能も担う。技術者であれば、開発業務で業界トップレベルの技術力を発揮しつつ、品質管理、技術サポート、後輩指導も行う。
重要なのは、「この人がいなければ会社が困る」というレベルまで一人ひとりを育て上げることだ。
相互バックアップシステムの革新性
ホワイトベース隊の最大の強みは、同僚間の横のフォロー体制だった。
アムロが精神的に追い詰められた時、フォローしたのはブライト艦長だけではなかった。セイラが医学的知識を活かしてメンタルケアを行い、フラウが日常生活面でサポートし、カイが現実的なアドバイスを与え、ハヤトが無言の連帯感で支えた。
一人の危機を全員で支える体制が、自然に機能していたのだ。
この相互支援を可能にしたのが、ブライト・ノアの「貢献度評価」だった。もし戦果だけで評価するなら、アムロ以外は評価できない。しかしブライトは、カイの現実的な判断力、ハヤトの堅実な支援、セイラの多機能な貢献、ミライの操舵技術など、それぞれの異なる貢献を適切に評価し、それを本人にも他のメンバーにも伝えていた。
この積み重ねが、「ブライトは自分のことを本当に見てくれている」「この艦長のためなら頑張れる」という絶対的な信頼関係を築いたのだ。
業界リーダー輩出システムの構築
ホワイトベース型人的資本経営の最終目標は、「○○会社出身なら間違いない」と業界で認められる組織ブランドの確立だ。
このブランド構築は段階的に進める必要がある。
第一段階:社内品質の統一
全社員が一貫して語れる会社の強みを明文化し、具体的なエピソードを蓄積し、社外での一貫したメッセージ発信を行う。「うちの会社の人材は○○が違う」という特徴を、誰もが自信を持って説明できる状態を作り上げる。
第二段階:業界での実績づくり
業界初の取り組みへの挑戦、困難な案件の引き受けと成功、業界誌・メディアでの露出増加などを通じて、目に見える成果を創出する。他社が敬遠するような難しい案件を積極的に引き受け、それを成功させることで「あの会社なら任せられる」という評判を築く。
第三段階:卒業生の活躍拡散
転職先での昇進実績、独立後の事業成功、業界での影響力拡大など、OBの成功事例を積極的に発信する。卒業生が各所で活躍することで、「○○会社出身」というブランド価値が業界全体に浸透していく。
〇人材難を武器に変える発想転換
制約こそが最強の武器である
最後に、我々50代のガンダムファンが心に刻むべき教訓を確認しよう。
人材不足は確かに厳しい現実だ。しかし、この状況だからこそ中小企業が大企業に対して持てる優位性もある。
濃密な指導が可能:中小企業では社長が直接指導できる環境にあり、一人ひとりと深く向き合うことができ、個別最適化された育成が可能だ。
早期の重要業務経験:入社1年目から重要案件に参加し、顧客との直接対話機会を得て、経営判断にも参加できる。
柔軟なキャリア形成:部署の壁がなく、興味・適性に応じた役割変更が容易で、起業・独立への理解と支援も得やすい。
成長実感の高さ:個人の貢献度が見えやすく、昇進・昇格も早く、会社の成長と個人の成長が連動していることを実感できる。
これらすべてが、ホワイトベース隊が持っていた環境そのものだ。
新しいROI計算法:生涯価値で投資を評価せよ
従来の人材投資ROIは「在職期間中の収益÷投資額」で計算されていた。しかし、ホワイトベース型では「生涯価値÷投資額」で計算する。
例えば、5年間雇用する人材への投資を考えてみよう。従来型の計算では、投資額500万円に対して在職中収益2,000万円を得られれば、ROIは300%となる。
一方、ホワイトベース型の計算では、投資額800万円(より濃密な育成投資)に対して在職中収益2,500万円に加えて卒業後価値1,500万円(紹介・協業等)を含めることで、総ROI400%を達成できる。
卒業後価値の具体例:
転職先での「○○会社で鍛えられた」評価による信頼度向上
独立後の下請け業務優先発注や技術提携
大手企業転職による業界評価向上や優秀な後輩紹介
このような長期的な価値を含めて計算することで、人材への投資が単なるコストではなく、将来にわたって価値を生み出し続ける資産であることが明確になる。
〇まとめ:連邦軍の轍を踏むな
シャアでさえ認めた「ホワイトベースの」ブランド。それは十数名の寄せ集めが、連邦軍という巨大組織を上回る価値を創造したからだ。
我々50代のガンダムファンは知っている。1979年の衝撃を、アムロの覚醒を、ブライトの成長を、そしてホワイトベース隊の奇跡を。
あの時、15歳だった我々が今、中小企業の経営者として直面している現実は、まさにホワイトベース隊と同じ状況なのだ。
人材不足?結構。限られた予算?上等だ。
制約だらけの中小企業こそが、ホワイトベース型人的資本経営の真価を発揮できる。
連邦軍の真似はもうやめろ。大企業の人材戦略など捨て去れ。ホワイトベース隊になれ。
そして、業界で「あの会社の出身なら間違いない」と言われる組織を作り上げろ。
君の会社の「卒業生」が、10年後に業界のリーダーとなり、「○○会社出身」というブランドが最高の信頼の証となる日が必ず来る。
それこそが、人材難の時代を勝ち抜く唯一の戦略なのだ。

〇明日から始める5つの実践アクション
アクション1:ビジョンを「生き残る」レベルまで具体化せよ
※今日の30分で完了
現在の会社ビジョンを見直し、全社員が「自分事」として感じられる切実なレベルまで具体化する:
【悪い例】「業界トップクラスの企業を目指す」「お客様満足度No.1」
【良い例】「この会社で家族を養い続ける」「10年後も雇用を守り抜く」「顧客から必要とされ続ける」
実施方法:
抽象的な理念を「誰の何を守るのか」まで具体化
「もしこれが実現できなかったら?」を全員で共有
A4用紙1枚に「我々が絶対に失ってはいけないもの」を明記
社員一人ひとりが「これは自分の人生に直結する問題だ」と感じられるビジョンに変更せよ。
アクション2:「助かったカード」で相互価値を見える化せよ
※今週から運用開始
全社員が日常的に「○○さんに助けられた」を伝え合うカードシステムを導入する:
カードの書き方例:
「○○さんのおかげで納期に間に合いました。ありがとう!」
「△△さんが教えてくれた方法で、作業効率が2倍になりました」
「□□さんがフォローしてくれて、お客様に怒られずに済みました」
「××さんの判断で、大きなミスを防げました。本当に助かりました」
実施方法:
名刺サイズのカードを全員に配布(週5枚程度)
「助かった瞬間」にその場で書いて手渡し
月末に全員分のカードを掲示板に貼り出し
最も多くカードをもらった人を「今月のMVP」として表彰
効果:
受け取った人は「自分の価値」を実感できる
送った人は「感謝の習慣」が身につく
全員が「誰が何で会社に貢献しているか」を把握できる
自然に「お互いを助け合う文化」が醸成される
重要なのは「大きな貢献」ではなく「日常の小さな助け合い」を見える化することだ。
アクション3:評価制度を「成果型」から「貢献度型」に変更せよ
※来月から適用開始
売上・利益などの「成果指標」だけでなく、「貢献度指標」を評価に組み込む:
従来の評価(成果型):
売上目標達成率
利益貢献度
個人の結果責任
新しい評価(貢献度型):
危機回避貢献:問題を未然に防いだ、早期発見した
チーム支援貢献:同僚の業務をフォローした、教育した
改善提案貢献:業務効率化、品質向上のアイデアを提供した
顧客関係貢献:信頼関係構築、長期取引につながる活動をした
実施方法:
月次評価で「今月の貢献度ベスト3」を各自が報告
上司だけでなく同僚からの「貢献度評価」も実施
貢献度の高い社員を全体会議で表彰
アクション4:「フォローしますよカード」で助け合いを事前申告せよ
※月初に運用開始
月初に全社員が「今月手伝えること」を事前に宣言するカードシステムを導入する:
カードの書き方例:
「今月は○○の案件が落ち着くので、営業サポートできます」
「来週なら残業代わりに担当できます。声をかけてください」
「新しいソフトを覚えたので、使い方を教えられます」
「経理処理、月末なら手伝えます。お困りの方はどうぞ」
実施方法:
月初の全体会議で各自が「今月のフォロー宣言」を発表
宣言内容を社内掲示板やチャットで共有
実際にフォローした/された場合は「助かったカード」で感謝を伝える
月末に「フォロー実績」を集計し、積極的な人を表彰
プロ野球FA宣言方式の効果:
事前宣言だから計画的に助け合いができる
能動的に手を挙げるので、やらされ感がない
月次更新だから状況に応じて柔軟に対応できる
公開宣言だから責任感が生まれる
具体例:
「田中さん(営業):今月は大口案件が一段落するので、見積書作成なら5件まで手伝えます」
「佐藤さん(技術):新人研修が終わったので、CAD操作を教えられます」
「山田さん(事務):月末の締め作業、今月は早めに終わりそうなので他部署の手伝いできます」
重要なのは「困った時に助けてもらう」ではなく「余裕がある時に積極的に助ける」文化を作ることだ。
アクション5:「新人必須参加ルール」を制度化せよ
※来月から強制適用
F1のフリープラクティス義務化と同様に、重要業務への新人・若手参加を「ルール」として制度化する:
必須参加ルール例:
重要顧客との打ち合わせ:月1回以上、必ず新人1名を同席させる
新規案件の提案書作成:経験者がメイン、新人がサブ担当として必ず参加
クレーム対応:ベテランがメイン対応、新人は同席で経験を積む
社外プレゼンテーション:四半期に1回は新人に発表機会を与える
実施方法:
「新人抜きでの重要業務は原則禁止」を社内ルール化
月末の業務報告で「新人育成実績」を必須項目とする
「面倒だから経験者だけで」という逃げ道を完全に封じる
新人の成長度合いを上司の評価項目に含める
F1方式の効果:
強制力:ルールだから必ず実行される(善意に頼らない)
継続性:「今回は時間がないから」という例外を許さない
平等性:全部署・全プロジェクトで必ず若手育成が行われる
成長実感:新人が「重要な仕事を任されている」と実感できる
具体的なルール例:
【営業部門】月2回の重要商談に新人必須同席
【技術部門】新規開発案件に若手エンジニア必須アサイン
【管理部門】月次報告資料作成に新人必須参加
【全社】四半期プレゼンで新人発表枠を必ず設ける新人保護ルール:
失敗しても責任は上司が取る
「練習」ではなく「戦力の一部」として扱う
成功体験を積ませることを最優先とする
重要なのは「育ててあげる」ではなく「戦力として使う」姿勢でルール化することだ。
〇最後に:今日から「ホワイトベース艦長」になれ
我々50代のガンダムファンよ、思い出せ。
ブライト・ノアは19歳で艦長になった時、完璧な指揮官ではなかった。失敗を重ね、時には部下に反発され、それでも責任を負い続けた。
しかし、最終的に彼は宇宙世紀最高の艦長となり、「ホワイトベースの」ブランドを不動のものにした。
あなたの会社も今日から「ホワイトベース」になれる。 あなた自身が今日から「ブライト艦長」になれる。
人材難?結構。限られた予算?上等だ。
制約を武器に変え、平凡な人材をニュータイプに育て上げ、業界で「あの会社の出身なら」と言われる組織を作り上げろ。
連邦軍の轍は踏むな。ホワイトベース隊になれ。
次回予告:「ストレスを力に変える『ホワイトベース式』健康経営」
極限のストレス環境で高いパフォーマンスを維持し続けたホワイトベース隊。フラウ・ボゥの存在、カツ・レツ・キッカの役割、そしてリュウ・ホセイの犠牲が教える「心の健康」管理術を、現代の働き方改革と健康経営の観点から徹底分析する。
参考文献:
富野由悠季『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
中小企業庁『中小企業の人材確保と育成に関する調査』
日本商工会議所『人手不足等への対応に関する調査』




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