フジテレビ問題から学ぶ!中小企業のためのカスハラ対策入門
- 吉田 薫
- 4月1日
- 読了時間: 4分

2025年3月、フジテレビの第3者委員会による報告が公表され、社内ではパワハラやセクハラだけでなく、タレントや関係者からのカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)も頻発していたことが明らかになりました。これはメディア業界に限った話ではありません。実は、多くの中小企業でも、顧客や取引先からのハラスメントに苦しむケースが増えています。
本記事では、フジテレビ問題をきっかけに注目が集まっている「カスハラ」について、中小企業でもすぐに始められる対策を紹介します。
1. そもそもカスハラって何?
カスハラとは、「カスタマーハラスメント」の略で、
顧客や取引先が、従業員に対して理不尽な要求や暴言を浴びせる行為
店舗や窓口、電話応対などの場面で、精神的・身体的な苦痛を与える行為
を指します。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
土下座の強要や過剰な謝罪要求
本人の容姿や人格を否定する暴言
商品・サービスに対する過剰で執拗なクレーム
長時間にわたる拘束や無理な要求
2. フジテレビ問題におけるカスハラの実態
第3者委員会の報告では、フジテレビの番組制作現場や関係部署で、以下のようなカスハラが確認されたとされています。
一部のタレントから、スタッフへの暴言や無理な要求が常態化
スポンサーや関係企業からの「指示」という名の過度な圧力
スタッフがカスハラ被害を受けても、訴えられない雰囲気
中居問題における重要な教訓
とりわけ問題視されたのは、自局アナウンサーがタレント(中居氏)からの言動に対してカスハラを訴えたにもかかわらず、管理職がそれを「個人的な関係のもつれ」だとして処理し、組織として対応しなかった点です。
これは、多くの職場でも起こりうる「見て見ぬふり」「問題の矮小化」の典型例です。
➡️ 組織としてカスハラを正しく扱わなかった結果、被害者の信頼を失い、組織全体の信用が揺らぐことになりました。
3. 中小企業にとってのカスハラリスクとは?
中小企業では、
顧客や取引先に強く言えない
被害を訴えても「我慢しろ」と処理されがち
対応マニュアルや相談窓口が整備されていない
といった背景があるため、カスハラが表面化しづらく、深刻な事態に発展しがちです。
主なリスクとしては:
社員のメンタルヘルス悪化
モチベーションの低下や退職増加
社内の不信感や空気の悪化
SNSや口コミでの炎上リスク
4. 今すぐできる!中小企業のカスハラ対策
✅ 1. 社員に「カスハラを我慢しないでいい」ことを伝える
朝礼やミーティングで「理不尽な要求は断ってOK」と明言する
上司が率先して「守る姿勢」を示す
対応マニュアルがなくても、方針だけでも共有することが大切
自社の”守る姿勢”をHPなどで広く告知する
✅ 2. 管理職のための“対応力”チェックリストを導入
フジテレビのように「個人のトラブル」と誤認して見逃すことを防ぐには、管理職に次のようなチェックリストを持たせるのが効果的です:
被害を訴えた社員の話を最後まで聞いたか?
客観的な視点で事実確認を試みたか?
感情論や印象ではなく、記録をとったか?
「プライベート」と判断せず、業務への影響がないかを検討したか?
必要なら第三者(労務、外部相談窓口)に繋いだか?
✅ 3. すぐ使える「カスハラ対応メモシート」を配布
「困った時に誰に報告するか」
「言われた内容をどう記録するか」
「その場で断っていいライン」
などを1枚にまとめたシートを作成し、レジ・電話対応・営業現場などに常備
✅ 4. 外部の力も借りる
顧問社労士や産業カウンセラーに相談窓口を設ける
トラブルが続く場合は、弁護士と「警告書のひな型」なども事前に用意しておく
✅ 5. カスハラに強い「職場の空気」をつくる
社内で「こんなカスハラがあった」という事例共有をする
被害を受けた人を責めない・孤立させない
「毅然とした対応」を賞賛する雰囲気を育てる
5. まとめ
フジテレビ問題は、「お客様は神様」という価値観が企業に深刻なダメージを与えるリスクを示した事例でもあります。
特に管理職の対応ひとつで、組織全体の信頼や雰囲気は大きく左右されます。中小企業でも、社員が安心して働ける環境を守るためには、「プライベートな問題」とせずに組織として正式に向き合う姿勢が何より重要です。
「まずは今日から、できること1つだけ始めてみる」——それがカスハラ対策の第一歩です!
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