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「働いて働いて働く」vs ワークライフバランス、あなたが誤解している本当の意味

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〇政治家の発言で炎上したワークライフバランス、実は9割の人が勘違いしている

■「働け働け」発言の真の問題点

大物政治家の「働いて働いて働く」発言が物議を醸した。SNSでは賛否両論が飛び交い、「ワークライフバランス(WLB)を否定するのか」「いや、働きたい人の自由だ」と大炎上。

でも、ちょっと待ってほしい。

この議論、そもそもワークライフバランス(WLB)の意味を誤解していないだろうか?


〇ワークライフバランス=「働くな」じゃない!勘違いしている人、続出

まず、多くの人が持っているワークライフバランス(WLB)のイメージがこれだ。


•       「定時で帰ろう! 残業は悪!」

•       「頑張りすぎないことが大事」

•       「とにかく休もう、働きすぎはダメ」

•       「若い世代の新しい価値観」


正直に言おう。これ、全部間違っている。

WLBは「働くな」じゃない。「選べるようにしよう」なのだ。


〇本質は「システム設計」にあり

ここが最も重要なポイントだ。WLBを理解するには、2つの層で考える必要がある。

【第1層】会社や組織がやるべきこと

•       フレックスやリモートワークなど、選択肢を用意する

•       「残業しないと評価されない」空気をなくす

•       子育て中でも、介護中でも働ける仕組み

•       休暇を取りやすい雰囲気づくり


これがWLBの本質。「働くな」じゃなくて「働き方を選べるようにする」制度設計のことだ。


【第2層】個人が決めること

•       バリバリ働きたい人は働けばいい

•       プライベート重視の人はそうすればいい

•       時期によって変えてもいい

•       誰かに強制されるものじゃない


つまり、「働きたい人」の意欲を奪うどころか、全員が自分らしく働ける環境を作るのがWLBなのだ。


〇歴史が証明する「放っておくとヤバい」理由

■産業革命で何が起きたか

ここで歴史の話をしよう。今の8時間労働制、どうやって生まれたか知っているだろうか?

「機械が発明されて、労働時間が短くなった」と思ったら大間違い。

18-19世紀の産業革命期、機械のおかげで生産性は爆上がりした。

でも労働時間は? なんと12-16時間に増えた。

なぜか。経営者は「生産性が上がったから労働時間を減らそう」なんて考えなかった。「もっと儲けよう」と考えたからだ。


■8時間労働は「闘争」の結果

8時間労働制は、労働者が必死に戦って勝ち取ったものだ。

•       1817年:ロバート・オーウェンが「8時間労働・8時間休息・8時間余暇」を提唱

•       1886年:アメリカで大規模ストライキ(これがメーデーの起源)

•       1919年:ILO(国際労働機関)が国際基準として採択

•       1947年:日本で労働基準法により法制化


つまり、技術が進歩しても、放っておけば労働者は搾取されるこれが歴史の教訓だ。


■フォードが気づいた「経済の秘密」

1914年、ヘンリー・フォードは画期的なことをした。

労働時間を短くして、給料を上げたのだ。

なぜか? 従業員が自社の車を買えるようにするためだ。労働者を「消費者」に変えることで、経済が回り始めた。

労働時間短縮→余暇ができる→給料UP→モノが買える→経済成長

これが20世紀の大量消費社会を生んだ。制度設計が社会を変えたわけだ。


〇AI時代、またしても歴史は繰り返すのか

■週休3日、1日6時間労働の可能性

今、AIで生産性が爆上がりしている。産業革命の機械と同じだ。

週休3日制や1日6時間労働の実験も始まっている。いい流れだ。

でも、産業革命の教訓を忘れるな。放っておいたら、また一部の人だけが得をして、多くの人は長時間労働のまま、なんてことになりかねない。

■「バランス」から「統合」へ

これからのWLBは、もっと進化する必要がある。

20世紀型:仕事8時間 vs 生活16時間(キッチリ分ける)

21世紀型:仕事と生活を柔軟に組み合わせる(自分でデザイン)

たとえば:

•       20代はガッツリ働く→30代は育児と両立→40代は学び直し→50代は社会貢献

•       午前は集中作業、午後は家族時間、夜はまた少し仕事

•       副業・複業が当たり前


こういうWork-Life Integration(統合)こそが、AI時代のWLBだ。


■「働く」の定義も変わる

これまで「働く=会社で給料もらう」だった。

でも、これからは?

•       創造的な仕事に集中(ルーティンはAIに任せる

•       ボランティアや地域活動も「働く

•       子育てや介護も「価値ある仕事」として認める

•       ベーシックインカム的な議論も本格化


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〇結局、何が正しいのか

■「働きたい人」vs「休みたい人」は不毛

冒頭の「働いて働いて働く」発言。これ自体は別に悪くない。

本人が働きたいなら、それは自由だ。

問題は「それを他の人にも強制する空気」だ。

影響力のある人が「働け働け」と言うと、「休みたい人」や「バランス重視の人」が悪者にされる。これがマズい。


■本当に必要なのは「選択の自由」

もう一度言おう。WLBの本質は選べることだ。

会社・組織がやるべきこと:

•       多様な働き方を選べる制度を作る

•       働き方の違いで差別しない

•       成果で評価する(時間じゃない)

個人が理解すべきこと:

•       自分のライフステージで選択を変えていい

•       他人の選択を尊重する

•       「働きたい」も「休みたい」も、どっちも正しい


■未来はどうなる?

8時間労働制が「消費社会」を生んだように、AI時代の新しい働き方は何を生むか。

•       創造社会:クリエイティブな仕事に人間が集中

•       学習社会:生涯学び続けることが当たり前に

•       ケア社会:人と人のつながりが価値を持つ

そんな未来を実現するカギが、正しいWLBの理解なのだ。


〇まとめ:誤解を解いて、建設的な議論を


✓ WLBは「働くな」じゃなく「選べるようにしよう」

✓ 歴史が証明:放置すると搾取される

✓ AI時代こそ、適切な制度設計が必要

✓ 「働きたい人」も「休みたい人」も、どちらも尊重

✓ 未来は「Work-Life Integration」へ


誤解に基づいて「働け」vs「休め」で対立するのは時間のムダ。

本当の議論は「どうやって全員が自分らしく働ける社会を作るかだ。

そのためには、WLBの正しい理解が不可欠。この記事が、建設的な対話のきっかけになれば幸いだ。


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