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勝つことでしか、ウェルビーイングは得られないのか?──戦える組織と“幸福な職場”の関係性

企業って、利益を出すのが仕事ですよね。 でも、そこにいる人たちの「ウェルビーイング」──つまり、心も体も人間関係もいい感じで整ってる状態って、どうやって生まれるんでしょうか?

『ルーズヴェルト・ゲーム』みたいな逆転劇を思い浮かべると、「やっぱ勝たなきゃダメだよな」と思うかもしれません。青島製作所がピンチからのし上がって、みんなの顔がイキイキしてたあの感じ。最近で言えば、日産が社会人野球部を復活させたニュースも、それに通じる“動き”に思えます。

でも、ほんとにウェルビーイングって“勝たないと得られない”ものなんでしょうか?


◆ 「勝つこと」は、あくまで一部でしかない

結論から言うと、「勝つ」ってウェルビーイングの一要素にはなるけど、それだけで全部満たされるってことはないんです。

たとえば会社が業績好調で、プロジェクトがうまくいったとき。


  • 自分の頑張りがチームに貢献できたって感じられる。

  • 結果的にお給料や待遇も良くなる。

  • 周りとの一体感が生まれて「チームっていいな」って思える。


そういう意味では、勝利って確かに“いい気分”をくれます。 でもね、それは「自分もその勝利に関われた」って思えたときだけなんです。

もし、会社は儲かってるのに自分の仕事が評価されなかったら? もしくは、頑張りすぎて体を壊してたら?

それって、勝ってるようで、負けてる気がしませんか?


◆ 「戦える組織」=みんながイキイキ働ける組織

じゃあ、どういう組織ならウェルビーイングが高まるのか?

それは、「勝てる組織」より「戦える組織」。


● 「戦える組織」の条件


  1. 仕事と会社の目的がちゃんとつながってる

    • 「この仕事がどう役に立ってるか」を実感できる。

    • たとえば、「この改善でお客さんの満足度が上がる」って分かるとモチベ上がりますよね。


  2. 挑戦しても怒られないし、失敗してもリトライできる

    • 「チャレンジしていい」っていう空気がある。

    • しかも、それが制度で守られてるとさらに安心。


  3. ちゃんと褒められる・認められる文化がある

    • フィードバックが一方通行じゃなくて、上司ともフラットに話せる。

    • 評価の基準も明確で、納得感がある。


  4. 部署の垣根がなくて、助け合える

    • 技術と営業、現場と管理部門が“壁”を作らずに連携できる。


  5. リーダーが熱い、そしてちゃんと現場に目を向けてる

    • 「あの人が言うならついていこう」と思える人がいると、やっぱり違いますよね。


戦える組織にするためのアクション


  1. ビジョンを“翻訳”する

    • 経営が掲げるビジョンを、それぞれの現場レベルに落とし込んで、自分ごとにしてもらう。


  2. 挑戦を「見える化」して、ちゃんと称える

    • 挑戦したことを表に出して、「いいぞ!」って称賛する。失敗も含めてOK。


  3. 1on1を“話す場”じゃなくて“聴く場”に変える

    • 上司が話すんじゃなくて、部下の話をじっくり聞く。仕事・気づき・気持ちの3点セットが理想。


  4. 部門シャッフルして、横のつながりを作る

    • 異なる部署のメンバーでプロジェクトを組むことで、「会社全体の目線」が自然と育ちます。


  5. 現場→経営のルートを開通させる

    • 社員からの提案や声が経営層に直接届くようにする。「声を届けていい」と思える仕組みが大事。


◆ 「勝つ」よりも「戦える」ことが、いい会社をつくる

もし日産が再び“誇りある企業”として再生するなら、それは「EVでテスラに勝った」からじゃないと思います。

社員ひとりひとりが、「自分のやったことが会社を動かしてる」と感じられる状態こそ、本当の意味でのウェルビーイング。


  • 野球部の応援で一体感が生まれたり…

  • 技術チームが「やりたいこと」に挑戦できたり…


そういう“日々のプロセス”の中にこそ、働く喜びってあるんじゃないでしょうか。

企業の逆転ストーリーって、「勝ったこと」よりも「どう戦ったか」が大事。 その中に、社員がどれだけ幸せに働けたか──その価値が、会社そのものの価値にもなるんです。


◆ 結びに:日産のウェルビーイングは、これからが本番

日産が『ルーズヴェルト・ゲーム』ばりの逆転劇を描けるかどうか──

そのカギは、「勝ったかどうか」じゃなくて、「戦う過程を社員がどう受け取ったか」にあります。

もしそれがうまくいったなら、きっと日産は“再建した企業”じゃなくて、“働きたいと思われる企業”として語られるでしょう。

そしてそれこそが、本当の意味での勝利なのかもしれません。




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